2014年03月19日

自宅もクリニックも工事の遅れにはご用心

馬場恒春
ノイゲバウア-馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)

 こちらはドイツ。100年来の厳冬と言われた2013年の寒さに比べれば、この2014年は暖冬だったとはいえ、クリスマスマルクト(Weihnachtsmarkt:クリスマスマーケット)の立ち並ぶ年の瀬に、骨まで凍るようなスケルトンの夏ズボンに夏ブレザー、半袖シャツといういでたちの筆者。やはり当院スタッフも「先生、大丈夫ですか?」ということになります。私のような一世代前の日本人の体型に合う服はまず入手できないドイツですから、秋に寒風吹き渡るリューゲン島を訪れるために(「有休の消化は病院の“義務”」参照)、ダウンコートを取り出しておいたのは結果的に大正解でした。続きを読む

2014年02月25日

エビデンスだけでマネジメントは語れない

マネジメント界の異端児ミンツバーグの教え

渡瀬剛人
ワシントン大学救急医学領域
ハーバービュー・メディカルセンターAttending Physician

 臨床医にとってマネジメントは遠い世界の話。医師は臨床に純粋に専念して患者に尽くせばいい。かつて私はそう思っていました。しかし、本当にそうでしょうか?

 救急医であれば、荒れ狂う救命救急センターの管理。指導医であれば、様々なレベルにある研修医の指導。診療部長であれば、折り合いが付かない他科との交渉。実は、これらの行動はマネジメントそのものです。毎日こなしている業務そのものが、知らずのうちにマネジメントになっていたりします。「マネジメントなど学んだことのない自分が、そんなことをやっていていいのか?」と悩んでしまうのは、私だけではないと思います。続きを読む

2014年02月10日

妊娠、中絶、妊娠、流産を経験した15歳の少女は…

オーストラリアGPからの挑戦状(5)解答編

小林孝子
ビーンリー・ロード・メディカルセンターGPフェロー

 前回の「オーストラリアGPからの挑戦状(5)」の解答編を始めます。まずは設問から振り返ってみましょう。

 今回は、第1回目の「挑戦状」で紹介したソマリア人の少女(15歳)が、再び登場します。名前を仮にエイミーとしましょう。

 その後(妊娠中絶をした後)、エイミーは避妊が必要だと言われていたにもかかわらず、間もなく再び妊娠して、今度は流産してしまいました。これにはさすがに懲りて、インプラノン(implanon、上腕の皮下に埋め込むタイプの避妊具〔後述〕)を使い始めました。それから2カ月。しばらくクリニックに来ないので“No news is good news.”と思っていたら、先日、インプラノンを取ってほしいということでやって来ました。この2カ月間、毎日のように出血して生理用パッドが手離せず、とても煩わしいとの訴えです。続きを読む

2014年02月04日

忌憚のない医師・患者関係がうれしくて、楽しくて

小林孝子
ビーンリー・ロード・メディカルセンターGPフェロー

 オーストラリア人を指して、砕けた表現でオージー (Aussie)と呼びます。オーストラリアを訪れたことのある人は、オージーはとてもフレンドリーだと言います。確かに、とてもフレンドリーで、開けっぴろげで、遠慮がありません。

 親切にしてくれるときは何の下心もありません。その好意は本当の親切心から出ています。できないときは“Sorry, I cannot help you.”と言って、「できること」「できないこと」にしっかりと線を引きます。ですから、「この前はああしてくれたから、今回もやってくれるだろう」と期待すると裏切られるかもしれませんが、こちらではそれが当たり前。義理とか恩義とか遠慮とか、控えめは美徳とか、日本でおなじみの精神文化はさほど重んじられません。続きを読む

2014年01月31日

「イスカンダル計画」の地で医療マネジメント会議

所属病院グループのマネジメントセミナー“傍聴”記

大西洋一
ラッフルズジャパニーズクリニック院長

 「今年も女子会に参加するのを楽しみにしていたけれど、急に仕事が入って日本に帰れなくなりました。すみません」。昨年の秋、私はこのようなメールを出す羽目になりました。

 10月最初の日曜日、東京駅前のKITTE(2013年3月にオープンした大型商業施設)内のレストランで開催予定の、医学部同級生女子10人が集まる食事会に参加するのを楽しみにしていた私ですが、病院行事が急きょ入ってしまいキャンセルすることになったのです。「女子会」とはいっても、私の同級生ですから今や皆さんほとんどがお母さんです。続きを読む

2014年01月22日

「イヤ〜な予感」の重大性を再認識した一例

「挿管してほしい」と訴えた“ベテラン”患者

日比野誠恵
ミネソタ大学ミネソタ大学病院救急医学部准教授

 26歳の白人男性が、2日間にわたる呼吸困難を主訴に来院しました。私を見るなり、「先生、どうにも気分が悪いので、私に気管挿管してください」と言います。バイタルサインを見ると、収縮期血圧が80mmHg台ですが、頻脈というよりは徐脈。頻呼吸もなく、SpO2も97%というところ。本人の話では、血圧はいつもこんな具合だそうです。続きを読む

2014年01月15日

フェラーリをあきらめて博士課程へ…

川口 敦
アルバータ大学(Stollery Children’s Hospital)小児集中治療クリニカルアシスタント
同大学公衆衛生大学院博士課程疫学専攻

 2013年の夏から、私は疫学分野の大学院生となりました。

 このKUROFUNetの執筆者の中にも、日本国外の大学や大学院を舞台に学んだり研究したりという方がいますが、国内であれ海外であれ、学生となるためにはまず学費の確保が大きな問題になります。日本であれば学生は学業の合間を縫ってアルバイトに励むのでしょうが、海外ではどうでしょうか?続きを読む

2013年12月24日

贈り物百景

内野三菜子
国立国際医療研究センター病院放射線治療科

 最初にお断りします。医師を含むすべての医療スタッフは、患者に対して医療行為を提供するに当たり、プロフェッショナルとしてベストを尽くす。「心付け」とされるもののあるなしによって、その姿勢が変わることはありません。プロフェッショナルに対する敬意さえ頂ければ結構で、患者側におかれては物品や金銭による心付けの類について一切気遣いをされませんよう、お願いいたします。このことを大前提とした上で、今日は「心付け」のお話をしたいと思います。続きを読む

2013年11月27日

有休の消化は病院の“義務”

休暇を取らなければ良い仕事ができない
ドイツの医師の報酬とワークライフバランスVol.3

馬場恒春
ノイゲバウア-馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)

 今回は「ドイツの医師の報酬とワークライフバランス」シリーズの最終回として、休暇(ウアラウプ: Urlaub)に焦点を合わせてみたいと思います。ドイツ人には、医師に限らず、「ウアラウプは国外の滞在型保養地でゆっくりと過ごしたい」という願望があります。ですから、有給休暇の日数を月収の額と同じように大切に考えているのです。続きを読む

2013年11月13日

多くの医師はベンツやポルシェに乗れない?

ドイツの医師の報酬とワークライフバランス(2)

馬場恒春
ノイゲバウア-馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)

 前回に引き続き、様々な観点からドイツの医師の報酬とワークライフバランスについてご紹介していきます。

「医師の収入は十分高い」と保険組合は言うが…
 「長い教育・研修過程、高い専門的知識と技術、責任の重さを考慮すると、医師の収入は低すぎる。さらに開業医では、スタッフの人件費や設備のためのコスト、実質的な労働時間を考慮すると、収入の低さは異常と言える」。勤務医や開業医の労働組合はこう主張して、改善をたびたび要求してきました。実際、かつて大学病院でストライキが打たれたときは、ある程度は世論の支持も得て、一定の待遇改善が実現しました(後述)。続きを読む