2012年10月30日

ソマリア人の15歳女性、妊娠への対応は?

オーストラリアGPからの挑戦状(1)解答編

小林孝子
ビーンリー・ロード・メディカルセンターGPフェロー

 前回の「オーストラリアGPからの挑戦状」、コメント欄で予想以上の多くの回答をいただき、ありがとうございました(※1)。まず設問から再度振り返ってみたいと思います。続きを読む

2012年10月22日

医師たる者、「労働者階級の言葉」を使うべからず

でも、分からなければ診療できない

林 大地
ボストン大学放射線科リサーチインストラクター

 あるとき、交通事故で運ばれて来た50歳の白人男性の担当になりました。この男性はバスの運転手でした。シートベルトをせずに仕事でバスを運転していたところ、複数台による玉突き事故に巻き込まれたとのことでした。

 “Do you have any pain?”という私の質問に対する答えは、「アーイ、ドック、ミゴッパインアールオゥヴァミネックエンベック」。一度聞いただけではよく分からず、再度繰り返してもらいましたが、それでも分かりません。続きを読む

2012年10月18日

頼れるのは自分だけ、“空飛ぶ医者”のとても長い旅

ベトナム発、医療航空搬送体験記

寺川偉温
ファミリー・メディカル・プラクティス・ホーチミン内科医

 “evacuation”という単語をご存知ですか? 日本語に訳すと「避難」「退避」といった意味になりますが、私はこの単語の意味をベトナムに来てから知りました。

 ホーチミンのクリニックでの勤務初日、オリエンテーションの際に、「もし日本人の患者でevacuationがあったら、あなたに行ってもらうから」と言われたのです。「エバキュエーション?」と思いましたが、どうやら話を聞いていると患者を飛行機に乗せて搬送することを指すようでした。クリニックの中で働くだけだと思っていたので、びっくりして「それって、まさか自分が空の上でお医者さんをするってこと?」と聞くと、「もちろん!」という返事でした。続きを読む

2012年10月10日

医学研究からビジネスを立ち上げる方法

市瀬 史
ハーバード大学医学部アソシエイト・プロフェッサー
マサチューセッツ総合病院麻酔集中治療科・麻酔医

 医学研究に限らず、大学などの教育機関における研究活動は、一般的にはお金になりません。私が勤務しているマサチューセッツ総合病院(MGH)は、アメリカでも最大の医学研究のメッカです。しかし、そんな場所でも、大方の研究者の収入は臨床医に比べて少なくなります。

 研究資金はどれだけ高額を獲ってきても、研究費用と研究スタッフの給与に消えてしまいます。研究者自身の給与を高くし過ぎると研究資金を圧迫し、研究計画の遂行を妨げますから、多額の給与を取るわけにはいかないというジレンマがあります。続きを読む