2013年11月27日

有休の消化は病院の“義務”

休暇を取らなければ良い仕事ができない
ドイツの医師の報酬とワークライフバランスVol.3

馬場恒春
ノイゲバウア-馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)

 今回は「ドイツの医師の報酬とワークライフバランス」シリーズの最終回として、休暇(ウアラウプ: Urlaub)に焦点を合わせてみたいと思います。ドイツ人には、医師に限らず、「ウアラウプは国外の滞在型保養地でゆっくりと過ごしたい」という願望があります。ですから、有給休暇の日数を月収の額と同じように大切に考えているのです。続きを読む

2013年11月13日

多くの医師はベンツやポルシェに乗れない?

ドイツの医師の報酬とワークライフバランス(2)

馬場恒春
ノイゲバウア-馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)

 前回に引き続き、様々な観点からドイツの医師の報酬とワークライフバランスについてご紹介していきます。

「医師の収入は十分高い」と保険組合は言うが…
 「長い教育・研修過程、高い専門的知識と技術、責任の重さを考慮すると、医師の収入は低すぎる。さらに開業医では、スタッフの人件費や設備のためのコスト、実質的な労働時間を考慮すると、収入の低さは異常と言える」。勤務医や開業医の労働組合はこう主張して、改善をたびたび要求してきました。実際、かつて大学病院でストライキが打たれたときは、ある程度は世論の支持も得て、一定の待遇改善が実現しました(後述)。続きを読む

2013年11月12日

日本人は点滴がお好き?

寺川偉温
ファミリー・メディカル・プラクティス・ホーチミン内科医

 まだベトナムで働き始めて間もない頃のこと―。イギリス人の40歳代男性が下痢でやって来ました。「昨日は20回以上の下痢をして、今朝もまだ続いている。水分はなんとか摂れているものの、食事は摂れない」という訴えでした。

 身体所見ではひどい脱水の徴候は見られなかったものの、圧痛を伴う腹痛があり、本人も疲弊した様子でした。「この状況なら、点滴すれば症状はかなり楽になるだろう」と考えた私は、日本で診療していたときと同じ感覚で「じゃあ、点滴した方がいいでしょう」と伝えました。続きを読む

2013年11月01日

「事故死の要因」1位は、外傷を抜いてモルヒネ

日比野誠恵
ミネソタ大学ミネソタ大学病院救急医学部准教授

 突然ですが、アメリカで最も処方されている薬剤は何でしょうか? 処方箋が要るということで、ちょっとした解熱薬や感冒薬は含まずにです。抗菌薬? それとも、高血圧やコレステロールをコントロールする薬剤でしょうか?

 実はここ20年ほどトップが続いているのは、モルヒネ系の鎮痛薬バイコデイン(Vicodin:一般名ヒドロコドン・アセトアミノフェン合剤)なのです。この事実は、アメリカでのモルヒネ系鎮痛薬の乱用、それに伴う過量摂取による死亡の増加とも密接に関連しています。2008年には、アメリカにおける事故死の要因として「外傷」を抜き、「モルヒネ系鎮痛薬」がついに第1位となってしまいました[1]。続きを読む