2014年02月25日

エビデンスだけでマネジメントは語れない

マネジメント界の異端児ミンツバーグの教え

渡瀬剛人
ワシントン大学救急医学領域
ハーバービュー・メディカルセンターAttending Physician

 臨床医にとってマネジメントは遠い世界の話。医師は臨床に純粋に専念して患者に尽くせばいい。かつて私はそう思っていました。しかし、本当にそうでしょうか?

 救急医であれば、荒れ狂う救命救急センターの管理。指導医であれば、様々なレベルにある研修医の指導。診療部長であれば、折り合いが付かない他科との交渉。実は、これらの行動はマネジメントそのものです。毎日こなしている業務そのものが、知らずのうちにマネジメントになっていたりします。「マネジメントなど学んだことのない自分が、そんなことをやっていていいのか?」と悩んでしまうのは、私だけではないと思います。続きを読む

2014年02月10日

妊娠、中絶、妊娠、流産を経験した15歳の少女は…

オーストラリアGPからの挑戦状(5)解答編

小林孝子
ビーンリー・ロード・メディカルセンターGPフェロー

 前回の「オーストラリアGPからの挑戦状(5)」の解答編を始めます。まずは設問から振り返ってみましょう。

 今回は、第1回目の「挑戦状」で紹介したソマリア人の少女(15歳)が、再び登場します。名前を仮にエイミーとしましょう。

 その後(妊娠中絶をした後)、エイミーは避妊が必要だと言われていたにもかかわらず、間もなく再び妊娠して、今度は流産してしまいました。これにはさすがに懲りて、インプラノン(implanon、上腕の皮下に埋め込むタイプの避妊具〔後述〕)を使い始めました。それから2カ月。しばらくクリニックに来ないので“No news is good news.”と思っていたら、先日、インプラノンを取ってほしいということでやって来ました。この2カ月間、毎日のように出血して生理用パッドが手離せず、とても煩わしいとの訴えです。続きを読む

2014年02月04日

忌憚のない医師・患者関係がうれしくて、楽しくて

小林孝子
ビーンリー・ロード・メディカルセンターGPフェロー

 オーストラリア人を指して、砕けた表現でオージー (Aussie)と呼びます。オーストラリアを訪れたことのある人は、オージーはとてもフレンドリーだと言います。確かに、とてもフレンドリーで、開けっぴろげで、遠慮がありません。

 親切にしてくれるときは何の下心もありません。その好意は本当の親切心から出ています。できないときは“Sorry, I cannot help you.”と言って、「できること」「できないこと」にしっかりと線を引きます。ですから、「この前はああしてくれたから、今回もやってくれるだろう」と期待すると裏切られるかもしれませんが、こちらではそれが当たり前。義理とか恩義とか遠慮とか、控えめは美徳とか、日本でおなじみの精神文化はさほど重んじられません。続きを読む