2013年10月03日

医療費高騰を読み解く4つの視点

アメリカの医療費はなぜ高い? Vol.2

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 私は救急科と内科の両方を専門としている、アメリカでは数少ない医療者です。急患受け入れから入院治療、退院を経て外来につなぐまでの一連の医療の流れを自分の目で見届けることができる立場にあります。

 前回の結びでは、「アメリカの医療費はなぜ高い?」という問題は何か一つの理由を挙げて説明できるようなものではなく、様々な原因が複合的に絡み合っていると述べました。今回は、私の立場から見て、その原因と考えられるものをいくつかひも解いてみたいと思います。続きを読む

2013年04月30日

「働けなければ、どうやって薬を買うの?」

アメリカの医療費はなぜ高い? Vol.1

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 「私はこれから何のために生きていけばいいの?」――。マリアの言葉と頬を伝う涙が今も忘れられません。

 内科病棟で若い患者を担当するのは、限られた病気(鎌状赤血球症や嚢胞性線維症など)以外では比較的珍しいことです。22歳のマリア(仮名)も例に漏れず難しい病気を抱えていました。続きを読む

2012年02月08日

「世界の中心」でホームレスを診る

Homeless health in D.C.

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 前回書いたように、私はメディカルスクールの臨床教育で、アメリカの首都ワシントンD.C.の医療過疎地(medically underserved areas)に位置するUnity Health Care Clinicで学びました。このクリニックを運営するNPOのUnity Health Careは、“Medical Outreach Van”というサービスを行っており、ホームレスの人たちのプライマリケアをミッションの一つとして掲げていました。そのミッションに参加し、実際に体験して度肝を抜かれたエピソードをご紹介します。続きを読む

2012年01月31日

大都会の医療“過疎”地で起こっている悪循環

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 ワシントンD.C.にあるUnity Health Care Clinic―。この小さなクリニックには、一般内科、小児科、産婦人科と、各科のスペシャリストは豊富にそろっているのに、黒人の医師は1人もいません。しかし、ここの患者のほとんどは黒人です。こうしたミスマッチな状況は、なぜ生じているのでしょうか?続きを読む

2011年06月30日

永住権証明書の再発行を待てずに死んだ患者

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

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【訂正】
2011.10.27に掲載した「永住権証明書の再発行を待てずに死んだ患者」につき、
以下の理由により一部記述を修正のうえ、再送信させていただきます。
読者の皆様におかれましては、ご理解を賜れば幸いです。

「永住権の証明がただちにできず、
正規のメディケイドを取得することができずに
移植医療を受けられなかった患者のエピソードを、
医療格差の問題としてとらえることは難しく、
受け入れ先の病院の対応もやむを得ないものだったと考えられます。
この観点に基づいて、一部記述を訂正しました。」
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 まだ臨床経験が少ない私ですが、医療制度の壁が最悪の形で我々の手足を縛り、医療者としてやるせない思いをさせられたケースを紹介したいと思います。続きを読む

2011年06月23日

医療格差の国での「ベスト」な処方とは?

大内 啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント


 私はアメリカで「救急科+内科」という特殊なダブルレジデンシーをしていますが、この道を選択したのは「医療格差」という問題に学生の頃から興味があったからです。日本でもよく耳にするとは思いますが、アメリカは医療格差がとても激しい国です。国民の約7分の1は無保険者ですし[1]、保険保持者の中でも「十分な保険に入っていない」とされる「勤労貧民」が大きな割合を占めています。続きを読む

2011年04月29日

祖母の死は果たして「運命」だったのだろうか…?

大内啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 前回で紹介した日本での研修よりも以前、私は医学部3年生のとき、患者の家族としての立場で日本の医療に接する機会がありました。この経験は、日本の医療を学んでみたいと思ったきっかけの一つになったかもしれません。

 少ない経験からではありますが、私が得た感触は、日本とアメリカの患者は医療に対しての見方が大きく違うということです。医療に期待するものも違えば、人の死に対しての考え方も少し異なるようです。続きを読む

2011年04月24日

米国の医学生として帰国し、母国の医療に驚き

大内啓
North Shore - LIJ Health System 救急医学・内科レジデント

 私は大阪生まれですが、家族の都合で12歳のときに渡米し、アメリカで教育を受けてきた日本人です。見かけや言葉は日本人ですが、考え方についてはアメリカでの教育の影響が強いと思います。日本のことは外から見てきた部分が多く、よく分からないこともままあります。現在はアメリカで救急と内科のダブルレジデントをしており、医療格差や医療システムにとても興味を持っています。そんな私が今までの学生・医師としての経験から感じたことを、日本の皆様にお伝えしていきたいと思います。続きを読む