2013年08月07日

日本語が下手な日本人

岡野龍介
インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

 今回は、医療の話から少し外れて、アメリカでの学校教育およびアメリカで育つ日本人の子どもの言語発達についてお話ししたいと思います。

 そもそも私がアメリカに住んでみたいと思った理由の一つは、子どもの学校教育システムにありました。アメリカの学校教育に対して、「詰め込み教育ではなく、独創性が重視され、日本のような受験競争からは無縁のゆったりとした教育が受けられる」という漠然としたプラスのイメージを持っていたのです。続きを読む

2013年01月23日

医療者も当然、銃を撃つ

岡野龍介
インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

 銃の乱射による無差別殺人事件がまた起こってしまいました。2012年12月14日朝、米コネチカット州ニュータウンにあるサンディフック小学校で若い男が銃を乱射し、5〜10歳の児童20人と、校長を含む職員6人が死亡した事件は、まだ皆さんの記憶にも新しいと思います。容疑者は現場で自殺してしまい、犯行の動機は不明のままです。続きを読む

2012年08月20日

インディアナ州で医療訴訟が少ない理由

医療トラブルを訴訟前に審議するメディカルレビュー・パネルを体験

岡野龍介
インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

 アメリカでのレジデンシーもフェローシップも終わり、就職先を探していたとき。インディアナ州は住みやすかったけれど、なんだか田舎で退屈だし、東海岸や西海岸にも住んでみたい…。そんなことを考えながらあちこち就職先を当たり、面接にも行きました。なのに、結局はインディアナの病院に就職したのには理由があります。続きを読む

2011年10月14日

働き続けるために、都会の中の“医療過疎地”へ

―アメリカJ-1ビザの知られざる側面

岡野龍介
インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

 今回は、アメリカへの臨床留学に際して、ほとんどの外国人医師に必要となる「J-1ビザ」(交流訪問者、研究員等向け査証)について、あまり知られていない側面を解説しようと思います。続きを読む

2011年06月29日

採用されるPersonal Statementはここが違う!

岡野龍介
インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

 KUROFUNetで記事を書くようになって、アメリカへの臨床留学の相談をよく受けるようになりました。その中でも多いのが、留学を志す人が苦しむPersonal Statementの書き方についてです。今回は、アメリカのレジデンシーのプログラムディレクターの目に留まる、魅力あるPersonal Statementの書き方についてお話ししようと思います。
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2011年01月21日

患者の名前はファーストネームで

岡野龍介
インディアナ大学麻酔科
アシスタント・プロフェッサー


 アメリカに来て、スーパーで買い物するとき、腑に落ちないことが続いた経験があります。レジでの応対がどうもおかしいのです。私の前の客とはにこやかに談笑していたレジ係が、私の番になると急に顔が曇って一言もしゃべらなくなります。押し黙ったまま商品を次々にスキャンした後、黙ってレシートを私の前に突き出すだけ。

 失礼千万と思い、憮然としてレジを抜けて振り返ってみると、私の後ろの客とはまた談笑しながら接客しています。どこのスーパー、どの店員でも同じ現象が繰り返されます。差別でもされているのでしょうか。いったいなぜなのか、かなり長い間その理由が分かりませんでした。

 前後の客と私とは何が違うのか。注意して観察していると、あることに気付きました。アメリカ人の客は、自分の順番が来るとレジ係と目を合わせて“Hi, how are you?”と言っています。その後にも一言二言、何か話しかけています。レジ係はそれに反応し、会計の間中にこやかに談笑しているのです。

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2010年10月03日

プロポフォールが足りない!―アメリカの危うい医薬品供給体制


岡野龍介
インディアナ大学麻酔科
アシスタント・プロフェッサー


 インディアナ大学病院手術部には、薬剤師が常駐する薬剤部の出張所があります。手術部で使用する薬剤はすべて、ここから供給されます。ある朝、そこの窓口に次のような張り紙が貼られました。

 「全米でプロポフォールが不足。20 mLバイアルはもうありません。プロポフォールは薬剤部で20 mL注射器に小分けしてお渡しします」続きを読む

2010年06月21日

コード・ブルーの憂鬱


岡野龍介
インディアナ大学麻酔科
アシスタント・プロフェッサー


 「Code Blue. University Hospital, 6th Floor, SICU, Surgery Service」(コード・ブルー。大学病院、6階SICU、外科)――。

 深夜の病院に全館放送が響き渡ります。私の周囲に座っているレジデントやインターンのポケベルが一斉に鳴り響きます。ポケベルをのぞき込むと、全館放送と同じ内容のショートメッセージが表示されています。廊下をバタバタとレジデントや看護師が走っていきます。

 私は、書きかけの入院カルテにペンを置き、息をつくと、重い腰を上げて彼らの後を追いました。私が憂鬱になるのには理由があるのです。続きを読む

2010年05月27日

卒後15年、インターンからの再出発を決断


岡野龍介
インディアナ大学麻酔科
アシスタント・プロフェッサー



 子どもの春休みに合わせて1週間の休暇を取り、桜咲き誇るワシントンD.C.を訪れました。暖かい日差しの中、妻と4人の子どもたちと共に青々と広がる芝生をゆっくり歩いていると、突然、自分が子どものときにここに来たことがあるのを思い出しました。何十年も前から幾度となく眺めてきた、色あせたアルバムの写真――。小学校1年生くらいの自分が写っていたものと同じ風景が今、私の目の前に広がっているのです。続きを読む